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民法改正(遺産の仮払い制度の創設)

分かりやすくするために、夫が亡くなり、その相続人が妻と長男、次男の3人というケースを想定してみましょう。
夫の死亡後、夫名義の預貯金は遺産分割の対象財産となり、相続人単独ではその払い戻しができません。(その死亡が知られないうちに、金融機関から引き出してしまうようなケースは例外ですので、ここでは触れません。)
このような場合に、父の入院費用、葬儀費用、妻の当面の生活費などの支払に窮してしまうこともめずらしくないのです。
今回、遺産の仮払い制度が創設されることにより、夫の相続開始時の預貯金の額の3分の1のうち、その相続人の法定相続分までについては、単独でその権利を行使(引出しなど)できるようになります。
つまり配偶者である妻は、夫の預貯金が6 ,000万円あったとしますと,6,000万円×1/3×1/2(法定相続分)=1,000万円までは、仮払いを受けて単独で使うことができるのです。
このケースでは夫の入院費用と葬儀費用は、相続人全員で合意して支払いを終えていたとしますと、妻は正式に遺産分割協議が終了するまでの間、この1,000万円で当面の生活費を確保できることになります。